ブリグジット(Brexit)(2016年6月12日)

2016年6月12日

 来週木曜日の6月23日にイギリスでEU離脱の是非を問う国民投票が実施されます。
先週土曜日早朝(6/11)には世論調査で離脱派が残留派を10ポイント上回った報道でポンドが急落しただけでなく、円が買われ、またNY株も急落しました。
今週からはブリグジット(Brexit)への警戒がより一層高まる可能性があります。

 

 ブリグジット(Brexit)とは「イギリス(Britain)がEUを出ていく(Exit)」ことの造語で、イギリスがEUを脱退したい理由は、主に移民・難民問題とEU主導体制(ドイツ)への反発が挙げられます。

 EU加盟国には難民受け入れを拒否できない法律があり、イギリスは社会保障が充実しているため移民が他の国よりも多く流入しています。移民が増えてきたことでイギリス国民の税負担や雇用機会の喪失、治安の悪化、イギリス文化が失われるなど多くの問題が発生しています。
またEU離脱後にはスコットランド独立機運が再燃する可能性もあります。

 

 

EU離脱した場合の影響
・国際金融センターであるロンドン・シティに拠点を置いている金融機関がドイツやフランスなどへ移転する可能性があり、シティの地位低下となります。
 イギリスはEU各国だけでなく他地域の米国や日本などとも貿易協定締結を新たに締結し直す必要があり、2016年4月にはオバマ米大統領が米国とイギリスとの新たな貿易協定に関する話し合いは最大で10年かかる可能性があるとの見方を示していました。
・EU自由貿易圏から外れることによるイギリス経済の縮小。

 

想定される市場への影響
以下が挙げられ、これ以外にも連鎖によってざまざまな市場に大きな変動が起こる可能性があります。
・ポンドとユーロの急落やリスクオフの高まりで円とスイスフランの急騰。
・欧州株急落と米国や日本など各国株式市場の急落。
・リスク回避からの欧州や米国、日本の債権急騰。
・金や銀などリスク回避による換金需要のためのコモディティの急落。
(金は2007年から上昇を続けていて、2008年のリーマンショック後は急落してから再び上昇基調に戻りました。)
・経済基盤の弱い新興国への影響。

 

対策
 6/23までにポジションの縮小またはノーポジにした方が賢明です。 また残さざるを得ないポジションに対しては、スプレッド拡大や急変動で大きな損失確定にならないよう証拠金の補充もする必要があります。
 海外のFX会社では数日前からレバレッジが500倍から50倍に縮小されることがあるため、高いレバレッジのポジションは早めに整理しておくことも大切です。

 

 

私見
 変化を望まない気質の農耕民族の日本人からすると、頭の中で想像する以上に欧米人は狩猟民族で変化に対する寛容度が高く、また強く望む傾向があるように思います。
 個人的にはマイノリティーで有色人種のオバマ大統領が誕生した時からこの気質の違いを実感し、イギリスのEU離脱は十分あり得ることだと思っていますし、トランプ氏が大統領になる可能性もあると思っています。
 2016年は株・為替とも年初から荒れたスタートとなり、AIなど第4次産業革命が進行する中で世界の社会・産業構造の大きな変化が起こる年のような気がしています。
過去の動きに縛られることなく、時代についていきたいものです。

 

参考
 2014年9月18日のスコットランド住民投票の時のポンドの動き、2015年1月16日のスイススイス中銀がユーロスイス上限目標撤廃した時の動き、2015年7月5日のギリシャ国民投票明けの月曜日(7/6)の株・為替市場の動きの記事は以下です。
ご参考にしてください。

・株
東京市場ザラバ~リーマン後の最高値更新です~(2014年9月19日)
東京市場ザラバ~なぜか日経だけスイスショック~(2015年1月16日)
東京市場ザラバ~ギリシャ緊縮反対派圧勝で大幅下落~(2015年7月6日)

・FX
スコットランド住民投票に向けたポンドの動き(2014年9月20日)
スイス中銀がユーロスイス上限目標撤廃を発表した時の動き(2015年1月16日)
ギリシャ国民投票後の東京時間のドルの動き(2015年7月6日)
(下線部分をクリックすると、該当記事が別ウィンドウで開きます。)

 

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