FOMC声明全文(2017年6月15日)

2017年6月15日

本日早朝(6/15)に発表されたFOMC声明の全文です。(時事通信より転載)

  米連邦公開市場委員会(FOMC)が5月会合以降に入手した情報は、労働市場が引き続き強化され、経済活動は今年に入って緩やかに拡大していることを示している。雇用の伸びは緩やかになったが、年初来おおむね堅調で失業率は低下している。家計支出は直近数カ月上向き、企業の設備投資は引き続き拡大した。前年同月比のインフレは直近で減少し、食品とエネルギー価格を除くコアインフレと同様に目標の2%を幾分下回っている。市場ベースのインフレ調整分の指標は依然低い。調査ベースの長期インフレ期待の指標の大半はほとんど変わっていない。

 法令で定められた責務に則し、FOMCは雇用の最大化と物価安定の促進を目指している。FOMCは、金融政策の緩やかな調整により、経済活動は緩やかなペースで拡大し、労働市場の環境はさらに幾分強固になると予想する。前年同月比のインフレは短期的に2%を幾分下回り続けると予想するが、中期的に2%近傍で安定すると予想している。景気見通しへの短期的なリスクはおおむね均衡しているようだが、FOMCは引き続き、インフレ動向を緊密に注視している。

 労働市場環境とインフレの現状、見通しを踏まえ、FOMCはフェデラルファンド(FF)金利誘導目標水準を1.00~1.25%に引き上げることを決定した。金融政策の姿勢は引き続き緩和的であり、労働市場環境をさらに幾分強化し、インフレが2%に安定的に回帰することを支える。

 FF金利誘導目標水準の今後の調整時期と規模を判断するに当たって、FOMCは、雇用最大化と2%物価目標に関する経済情勢を、実績と見通しから評価していく。この評価は、労働市場環境に関する指標、インフレ圧力やインフレ期待の指標、金融、国際的な情勢の解釈を含む幅広い情報を考慮する。FOMCは、「シンメトリック・インフレーション・ゴール(上下の許容幅が対称的なインフレ目標)」と比較して、現状のインフレ進展と見通しを注意深く監視する。経済情勢は、緩やかな利上げを正当化する形で進展すると予測する。FF金利誘導目標水準は一定の間、長期的に予測されている水準を下回るだろう。しかし、実際のFF金利誘導目標水準の先行きはデータが示す経済見通しに依拠する。

 FOMCはエージェンシー債やMBSの償還資金を再投資する既存の政策を維持し、償還を迎える米国債を入札方式で再投資する政策を維持する。FOMCは、経済情勢がおおむね予想通りに進むことを条件に、年内にバランスシートの正常化計画を開始する方針だ。この計画は「政策正常化の原則と計画」に関する付属文書に記載した通り、保有する証券の償還元本の再投資を減らすことで、FRBの保有資産を緩やかに減少させる。

 FOMCの金融政策に賛成したのはイエレンFOMC委員長(FRB議長)、ニューヨーク連銀のダドリー総裁、ブレイナードFRB理事、シカゴ連銀のエバンズ総裁、フィッシャーFRB副議長、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁、ダラス連銀のカプラン総裁、パウエルFRB理事。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は今回はFF金利誘導目標水準の維持が望ましいとして反対した。