東京市場ザラバ~安倍首相の辞任報道で一時719円急落して326円安~(2020年8月28日)

 

2020年8月28日

・本日14時5分に安倍首相が辞任の意向との報道が流れ、株と円相場は大きく動きました。
当初17時から首相官邸で記者会見は予定されていろいろな憶測が流れていましたが、辞任を予想していた人はごく少数でした。
14時の速報が流れると、日経株価は719円急落して引けにかけて戻したものの326円安の22,882.65で引け、ドル円は発表直後に50pips急落し、その後も欧州・NYタイムで円買いの流れが続いて136pips下落した105.34でNYクローズとなりました。
記者会見で安倍首相が述べた辞任理由は、持病の潰瘍性大腸炎の再発により、病気の治療を抱えて体力が万全でない状態で大切な政治判断を誤ること、結果を出せないことがあってはならないとのことでした。

 民主党政権下の2012年9月の自民党総裁選に勝利し、同年12月の衆院選で自民党が政権与党に返り咲いた2012年(平成24年)12月26日から第二次安倍内閣はスタートして今日まで7年8か月もの長期政権に終止符が打たれました。
「財政出動」「金融緩和」「成長戦略」という「3本の矢」で、長期のデフレを脱却して名目経済成長率3%を目指すアベノミクスを掲げて経済政策を展開し、2012年12月26日の日経平均株価10,230.36円から2020年8月28日の終値22,882.65円まで12,652.29円上昇(上昇率223%)、TOPIXは847.71から1,604.87まで757.16ポイント(上昇率189%)の上昇となり、それまで停滞していた日本経済を活性化させました。
また2013年3月19日に退任した白川方明前総裁の後任として日本を代表する通貨マフィアの一人であるアジア開発銀行前総裁の黒田東彦氏が2013年3月20日付で新総裁に就任し、2013年4月の日銀総裁就任後初めてとなる金融政策決定会合で、2%の物価目標を2年程度で実現するために日銀が供給するマネタリーベースを2年間で2倍にするなど自ら命名した 「異次元の金融緩和」に踏み切り、その後も追加金融緩和やマイナス金利の導入で金融面から株価上昇を牽引しました。
外交面では地球儀を俯瞰する外交を掲げて、80カ国の訪問国・地域、176ののべ訪問国・地域を訪問して歴代最多となり、オバマ、トランプ両米大統領との信頼関係を築いて日米同盟が強化され、ロシア・プーチン大統領、中国・習近平国家主席を始め欧州や中東諸国とのトップ外交も積極的に行いました。

 コロナ禍の現状の中、次期総裁が誰になるか、安倍首相がいなくなった後の日銀黒田総裁の金融政策の行方、日本株の最大の買い手となりつつある日銀のFTF買い入れ、日本の公的年金のうち厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行っているGPIF、またアメリカ大統領選挙を11月3日に控えて不透明な要素が多いなか今後の株価や円相場の動向が読みずらくなっていて、発表される報道などに右往左往させられる地合いが続くものと思われます。

 

 

・本日の日経は前日終値23,208.86よりも23.44円高い23,232.30で寄り付き、前場は23,180-23,310で上下し、後場に入った途端に本日高値の23,376まで上昇し、23,300での揉み合いが続いていました。
14:05に安倍首相辞任が伝わると23,313から22,594まで719円急落し、すぐに23,077まで戻しましたが、再び売り直されて22,882.65(-326.21)▼1.41%で引けました。

東証一部売買代金:28,251億円、東証一部売買高:16.66億株
東証一部騰落数 値上がり568銘柄、値下がり1,543銘柄、変わらず58銘柄、比較不可3銘柄

 

 

日経先物
・23,230で寄り付き、直後から上げ出して9:10に23,310まで上昇し、そこからは一旦23,190まで押し戻されましたが10:30から再び上げ出して12:15には23,390まで上昇しました。
後場になると23,300近辺での揉み合いが続いていましたが、14:05に速報で安倍首相辞任の報道が流れると23,310から22,560まで750円大急落しました。
その後は急速にリバって14:20に23,090まで戻しましたが、すぐに売りなおされて23,730-22,910で上下し、22,890(-320)▼1.40%で引けました。
ナイトは22,780で寄り付き、すぐに上下出して17:30に22,970まで上昇した後は22,880-930での揉み合いがしばらく続きました。
NY市場開場後に22,770まで下落しましたが、NYが堅調に推移していたためジリジリと戻して22,940(+50)△0.22%で引けました。/p>

左:日経先物-5分足 右:日経先物-日足
 

日経先物-月足

 

マザーズ
前日終値1,134.42よりも7.24ポイント安い1,127.18で寄り付き、直後からジリ下げが続いて10:00には1,096まで下落し、そこからはジリジリとゆっくり戻して1,110-115での小動きが続きました。
14:05の安倍首相辞任報道で1,111から1,068まで42ポイント急落し、その後1,096まで戻しましたが、再び売り直されて14時過ぎの安値を下回る1,065まで下落し、引けにかけて小幅戻して1,081.57(-52.85)▼4.66%で引けました。

左:マザーズ-5分足 右:マザーズ-日足
 

マザーズ-月足

 

ドル円(チャートは6:00時点)
・東京時間に入るとジリ上げが続いて12:40には106.94まで上昇し、そこからはジリジリと押し戻されていましたが、14:05に安倍首相辞任が伝わると106.70から106.20まで急落し、その後は106.15-30での揉み合いが続いて106.27で15時となりました。
東京時間引けてから円買いの流れが強まり21:10の105.19までひたすら下げ続けました。
22:10に105.73までリバる場面がありましたが、すぐに押し戻されてからは105.25-50での揉み合いがひたすら続いて105.34でNYクローズとなりました。

左:ドル円-10分足 右:ドル円-1時間足
 

左:ドル円-日足 右:ドル円-月足
 

 

日本国債(チャートは15:00時点)
・14:05の安倍首相辞任報道後は151.40-51で小幅に上下し、欧州・NYタイムに入ると債券が買われて151.55-58での揉み合いが続き、151.51でNYクローズとなりました。

左:日本国債先物-5分足 右:日本国債先物-日足
 

左:日本国債先物-月足

 

上海総合指数
前日終値3,350.11よりも3.83ポイント高い3,346.28で寄り付き、前場は前日終値を挟んで小動きが続いていましたが、後場になると急速に上げ出してほぼ本日高値の3,403.81(+53.69)△1.60%で引けました。

左:上海総合指数-1分足 右:上海総合指数-日足
 

左:上海総合指数-月足

 

安倍首相辞任後のNY株式市場
NY DOW  28,653.87(+161.60)△0.57%
NASDAQ  11,695.63(+70.30)△0.60%
・安倍首相辞任後のNY株は前日8/27の米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)のパウエルFRB議長講演で金融政策の目標として「当面の間は2%を上回るインフレ率を目指す」政策へのシフトを決定したことで、低金利環境がより長期化して株式市場への資金流入が続くとの思惑から終日堅調な展開となり、ダウは$161高、ナスは0.60%高で史上最高値を更新しました。

左:DOW-日足 右:NASDAQ-日足