FOMC声明全文(2017年5月4日)

2017年5月4日

本日早朝(5/4)に発表されたFOMC声明の全文です。(時事通信より転載)

 米連邦公開市場委員会(FOMC)が3月会合以降に入手した情報は、経済活動の伸びが減速したにもかかわず、労働市場は引き続き強化されたことを示している。雇用の伸びは、この数カ月おおむね力強く、失業率は低下した。家計支出の伸びは緩慢にとどまったが、消費の伸びを支えるファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は堅調だった。企業の設備投資は強まった。最近の前年同月比のインフレはFOMCの2%長期目標近くを推移している。エネルギーと食品価格を除くコアインフレや消費者物価は3月に低下し、依然2%を幾分下回っている。市場ベースのインフレ調整分の指標は依然低い。調査ベースの長期インフレ期待の指標の大半はほとんど変わっていない。
 法令で定められた責務に則し、FOMCは雇用の最大化と物価安定の促進を目指している。FOMCは、1~3月期の経済成長の鈍化は一時的とみられると判断し、金融政策の緩やかな調整により、経済活動は緩やかなペースで拡大し、労働市場の環境はさらに幾分強固になり、インフレは中期的に2%近傍で安定すると予想する。景気見通しへの短期的なリスクはおおむね均衡しているようだ。FOMCは引き続き、インフレ指標と国際経済・金融情勢を緊密に注視していく。
 労働市場環境とインフレの現状、見通しを踏まえ、FOMCはフェデラルファンド(FF)金利誘導目標水準を0.75%~1%に維持することを決定した。金融政策の姿勢は引き続き緩和的であり、労働市場環境をさらに幾分強化し、インフレが2%に安定的に回帰することを支える。
 FF金利誘導目標水準の今後の調整時期と規模を判断するに当たって、FOMCは、雇用最大化と2%物価目標に関する経済情勢を、実績と見通しから評価していく。この評価は、労働市場環境に関する指標、インフレ圧力やインフレ期待の指標、金融、国際的な情勢の解釈を含む幅広い情報を考慮する。FOMCは、「シンメトリック・インフレーション・ゴール(上下の許容幅が対称的なインフレ目標)」と比較して、現状のインフレ進展と見通しを注意深く監視する。経済情勢は、緩やかな利上げを正当化する形で進展すると予測する。FF金利誘導目標水準は一定の間、長期的に予測されている水準を下回るだろう。しかし、実際のFF金利誘導目標水準の先行きはデータが示す経済見通しに依拠する。
 FOMCはエージェンシー債やMBSの償還資金を再投資する既存の政策を維持し、償還を迎える米国債を入札方式で再投資する政策を維持する。これらはFF金利誘導目標水準の正常化が十分に進むまで行う見通し。この相当額の長期証券保有を継続する政策は、金融市場の緩和状態の維持を支えるはずだ。
 FOMCの金融政策に賛成したのはイエレンFOMC委員長(FRB議長)、ニューヨーク連銀のダドリー総裁、ブレイナードFRB理事、シカゴ連銀のエバンズ総裁、フィッシャーFRB副議長、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁、ダラス連銀のカプラン総裁、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁、パウエルFRB理事。