イエレン米FRB議長会見要旨(2014年9月18日)

2014年9月18日

本日早朝(9/18)発表されたイエレンFRB議長の記者会見要旨です。(ロイターより転載)

 

<金利見通し>
フェデラルファンド(FF)金利の道筋について、上向きの動きはほとんどないと言える。これは、失業率の低下が非常に小幅で、インフレ見通しの上向きの動きが非常に小さいなかでの予想とおおむね一致していると見ている。
労働市場の実態がわれわれが掲げる最大雇用の目標からどの程度かい離しているのか、(現在の)インフレ率はわれわれが目標とする2%からどの程度離れているのか、そしてこれらのかい離がどの程度のペースで解消されるのか、われわれのガイダンスが示す通り、金利の道筋を決定する参加者の大部分がこうした点を注視している。
見通しでは、こうしたかい離の解消は非常に緩やかであることが示されている。
経済、および金利の道筋の予想の変化について、かなり緩やかであると形容するのが妥当だと考える。

<相当な期間と経済指標>
見通しは6月時点からそれほど変わっておらず、連邦公開市場委員会(FOMC)はこの評価を適切と考えている。
この「相当な期間」という文言が何を意味するのか、機械的な解釈はないと強調したい。何度も繰り返し申し上げているが、適切な利上げ開始時期に関する決定は経済指標次第だ。
目標達成に向けた進ちょくペースが速まり加速すれば、現時点の想定よりも早い時期に、より急ピッチで利上げする公算が大きい。だが見通しが変化すれば、その逆もあり得る。
利上げのタイミングに関するガイダンスを日程に基づいて示すことは正確ではない。「相当な期間」の文言は日程に基づいているような印象を与えるかもしれないが、条件次第の面が強く、FOMCの景気判断に左右される。

<利上げ時期見通しめぐるFRBと市場のかい離>
正直申し上げて、かい離が存在するかどうか完全にははっきりしない。かい離の有無をめぐり異なる意見がある。かい離が存在する限りにおいて、その理由の1つは、市場、および市場関係者が経済状況の動向についてさまざまな見方を持っていることが考えられる。
FRBが取り得る経済指標への対応、もしくは反応について理解することが市場参加者にとり重要だ。われわれの仕事は、政策スタンスは指標次第という点において、できるだけ明確に市場と対話するよう努めることだ。またそのように努力すると約束する。

<FOMCの金利見通し>
(2016年末時点で)フェデラルファンド(FF)金利見通しが長期の正常水準を下回っていることについて、FOMC参加者はさまざまな説明を提供しているが、多くは金融危機の余波を挙げている。金融危機の影響は緩やかに後退しているが、今後も家計支出を抑制するとともに与信を制限し、将来の成長や生産、所得に関する見通しを下押しする公算が大きい。
こうした要因がさらに低減するのに伴い、多くのFOMC参加者はFF金利が2017年末までに長期の正常水準に近付くと見込んでいる。しかしながら、FOMCのFF金利予想は経済見通しに左右されることを強調したい。

<金利の柔軟性>
これまでも申し上げているが、あらためて指摘したい。予想外のことが起こり、目標に向かってより速いペースで進展していれば、より早い段階で動く必要があると判断する。またはその後、指標次第で、動く柔軟性があると考える。市場は不透明性があり、声明はある一定期間に関する確固とした約束のようなものではないと理解することが肝要だ。

<再投資とバランスシート縮小>
FOMCは、正常化のプロセスが適切に始まり、そのプロセスが今後どう進展していくかについて市場と上手く対話していると願っている。そのプロセスが確立され、十分に機能しているとFOMCが判断し、見通しにも自信が持てる場合に、再投資を停止するプロセス、もしくは段階的に縮小して最終的に停止するプロセスを開始する。
効率的かつ効果的に政策が実施できる最低限の水準まで、バランスシートを縮小することを目指す方針を示してきた。この10年が終わるまで、そうした水準には到達しない可能性がある。

<パートタイム労働者>
職を求めつつ、ありつけない人が依然多数いる。非常に多くの人がパートタイムで働くが、フルタイム職を希望している。労働市場が堅調さを増せば、職探しを再開する考えの人も多い。FOMC声明で触れたように、幅広い労働市場の指標が、依然として労働資源の著しい活用不足を示している。労働市場の改善を支える経済の基調的な強さが十分存在し続けていると、FOMCは判断している。第3・四半期の支出や生産の指標は、経済活動が緩やかなペースで拡大しつつあることを示し、FOMCは今後も緩やかな成長ペースが続くと予想している。

<FF金利レンジ>
FOMCは、フェデラルファンド(FF)金利について、正常化が始まる際、単一の水準ではなく引き続き目標レンジを設定すると予想している。

<ドットプロット分析>
予想期間が先になるほど、ドットで示される予想の範囲も広がりを見せている。2017年は幅広い範囲になっている。FOMCのさまざまなメンバーが、異なる予想を示したことが反映されている。ドット分析で示されていないのは、参加者それぞれが独自の予想に関して感じている不確定要素だ。つまり、経済の進展次第ということになる。それは時が経つにつれて変化するため、かなりの不確実要素が存在することになる。

<欧州経済>
欧州の見通しについても討議した。最近はインフレ率が極めて低水準で、インフレ期待の低下も見受けられ、成長ペースも鈍い。
世界経済のさまざまなリスクの一つであり、欧州で成長のペースとインフレが加速することを願う。それが世界経済や米国にとってプラスだと思っている。

 

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