イエレン上院銀行委員会証言要旨(2014年2月28日)

2014年2月28日

米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は28日0時に上院銀行委員会で証言を行ないました。
(ロイターより転載)

イエレン議長は2月11日に下院金融委員会で証言している。上院での証言は当初13日に予定されていたが、悪天候のため延期されていた。
内容は以下の通り。

経済が正常化するまでにどの程度の時間がかかるかとの質問に対し
数年かかると考える。

完全雇用の達成
完全雇用とは、雇用市場が妥当な期間内に要件に見合う職業に就くことができる状態になっていることを指すと考えている。こうした状態に達したことを端的に示す指標はない。

大きすぎてつぶせない金融機関に対する規制
タルーロFRB理事が大きすぎてつぶせせない金融機関をめぐる問題の解決には程遠いとの見解を示したことにやや驚いている。個人的には、規制の導入にあたりかなりの進展が見られたと考えている。

金融市場の潜在的な不安定性について
低金利環境が長期間続いていることで、金融安定を脅威にさらす行動が引き起こされる可能性があるとの考えに同意する。このため、この点について非常に注意深く注視する必要がある。非常に綿密に注視していると確信している。

資産価格・レバレッジ・信用の伸びを注視
われわれは多くのことを監視している。資産価格に関する指標やそれらが歴史的水準からかい離していないか、レバレッジの積み上がり、金融システムに対し極めて危険な恐れのあるレバレッジについて注視している。信用の伸びが潜在的に懸念すべき傾向にないかにも注意している。
これに加え、とりわけ金融機関に対するストレステスト(健全性審査)にも注目している。低金利環境下で、金融機関が金利リスクに適切に対処しているかどうか点検する必要がある。

資産買い入れ
資産買い入れはあらかじめ定められた軌道にはない。見通しに大幅な変化が生じれば、もちろん見直す可能性を排除しない。だがこの件に関し、結論を急ぎたくない。

失業率6.5%の数値基準
6.5%の失業率は米連邦公開市場委員会(FOMC)による完全雇用の定義ではない。この点に関する委員会メンバーの見解はそれよりもかなり低いレンジとなっている。失業率は労働市場の健全性を測る統計としては十分でない。労働力人口のうち、さらに5%というまれに高い比率の人が、経済の理由からパートタイムで働いている。さらに、まれに高い比率の人が長期間、失業状態にある。このため、労働市場の動向をより包括的に考慮するにしたがい、これらすべての点を踏まえる必要がある。

財政の足かせ
財政政策が相当引き締まっており、過去数年間、米経済の支出を大きく下押ししてきた。足かせは今年、大きく軽減するとみられるが、引き続き多少の下押し効果は残る。これまで、財政政策が足かせとなり、金融政策への負荷がより大きかったことは紛れもない事実だ。

景気回復
景気回復が始まりつつあると実際に考えており進展が見られた。最低でも財政政策が阻害しないことを望む。

金融政策
緩和的な金融政策が当面は適切であり続けると考えている。
議会がFRBに負託した2つの責務である最大雇用と物価安定の間に、矛盾はまったくない。

保険各社のルール
保険業に重要な関与をしている企業に対して課す一連の適切なルールを非常に慎重に設計しようとしているところだ。保険会社と銀行の事業モデルは著しく異なっており、そうした違いを理解し、保険各社の事業モデルに適切な一連の資本・流動性要件の策定に必要とされるだけ、時間をかけて取り組みつつある。

最近の軟調な経済指標
下院金融委員会での証言以降、多くのアナリストの予想以上に支出が鈍化している兆候が複数の経済指標で示された。
鈍化の一部は悪天候を反映している可能性があるが、現時点で正確にどの程度影響したか判断することは難しい。FRB当局者は今後数週間、数カ月間にわたり、FRBのこれまでの予想通りに景気回復が進行しているかを示す兆候に注意する。

 

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